近年、デジタルプレーヤーの登場により音楽鑑賞のスタイルが変わりつつある。モバイルはもとより、在宅時もデジタルプレーヤーが音楽サーバーの役割を果たすというのだ。とはいえ、我々が音楽を慈しむ心は変わらないし、オーディオで最も重要なクオリティの訴求も決して疎かになっていない。
その現れともいえる密かなトレンドが、デジタルプレーヤーと真空管アンプの組み合わせである。最新のデジタル機器とレトロな真空管という、一見相容れない組み合わせが意外にも絶妙な調和を聴かせるのだ。 そんな中、意外なメーカーから真空管アンプの新製品が登場した。ブランド名は「radius」、型名はRA-VT11である。「radius」はDVDメディアでおなじみのラディウスである。そう、あのラディウスが遂にピュアオーディオに参戦。その最初のモデルが何と真空管アンプなのだ。
RA-VT11はデジタルプレーヤーとの組み合わせを意識したモデルだというので、現物を見る前は手軽なミニアンプを想像した。しかし、この想像は外れだった。RA-VT11は堂々たる風格の本格的な真空管アンプなのだ。 ピュアオーディオにかけるラディウスの並々ならぬ気概。RA-VT11にその全てが現れていると言っても過言ではない。本機の仕様を紹介しよう。 回路は初段にSRPPを採用した本格的な三段増幅。使用真空管は初段とドライバー段が2C51、終段は“名球”6L6Gを使用している。終段は固定バイアスのAB級シングルプッシュプルで出力は15W+15Wだ。真空管アンプでは出力トランスも重要な部品である。RA-VT11の出力トランスは、フランスから取り寄せた素材を熟練の職人が手作業で仕上げた名品だ。
コンデンサーや抵抗、ボリュームなども最新の高級部品を投入。真空管という時代がかったイメージにこだわることなく、正攻法でクオリティを追求する設計思想が素晴らしい。さらに鏡面仕上げが美しいステンレスシャーシや、透明アクリルを配したデザインも秀逸だ。本体を支える脚は無垢のアルミ削り出しである。物量投資の結果、本体質量は約18kgと重量級になった。
|
||||||||||||||||||||||||||
このクオリティならメインシステムとして十分通用する。デジタルプレーヤーと組み合わせるだけでは絶対にもったいない。RA-VT11は真空管の旨味をギュッと凝縮した逸品だ。ビギナーにもマニアにも薦めたい。 |
||||||||||||||||||||||||||
■ラディウス「RA-VT11」詳細ページ ■ラディウス ホームページ |
||||||||||||||||||||||||||
SPECIFICATION ●出力段回路形式:クラスAB、プッシュプル駆動 ●使用真空管:6L6G× 4、2C51×4 ●定格出力:15W+15W(8Ω)、15W+15W(4Ω) ●S/ N:94dB ●入力端子:ステレオ音声(RCA)×4 ●負荷インピーダンス: 8Ω、4Ω ●電源電圧:AC 100V ●電源周波数:50/60Hz ●定格 消費電力:120W ●ヒューズ:250VAC T2.5A ●外形寸法:330W× 186H×385Dmm ●質量:約18kg ●問い合わせ先:ラディウス(株) テクニカルサポート TEL/0120-09-5587 |
||||||||||||||||||||||||||
|