回転するプロペラの文字も歪みなく撮影可能
パナソニック、有機CMOSセンサーを開発。従来比100倍のダイナミックレンジ実現
パナソニックは、従来比100倍のダイナミックレンジを実現する、有機薄膜を用いたCMOSセンサーを発表した。カメラやセンシング用途への適用を検討しているという。併せて、従来比約10倍の明るさの環境下でも高速に動く被写体を正確に撮像できる光電変換制御シャッター技術も発表された。
従来のイメージセンサーは、シリコンフォトダイオードを使って光を電気に変換し信号電荷を蓄積していた。一方、今回発表された新有機CMOSは、光を電気に変換するのに有機薄膜を使い、信号電荷蓄積は下層の別回路で行う独立構造となっている。
有機薄膜は従来のシリコンフォトダイオードよりも光を吸収するため、薄膜化が可能。これにより入射光線範囲を広く取る(60度)ことができるので、斜めから入ってくる光も効率良く利用でき、混色のない忠実な色再現が可能となる。レンズの設計自由度が増すので、カメラの小型化にも寄与する。
また、従来はシリコンフォトダイオード以外の部分に光が入るのを防ぐ遮光膜が必要だったため、受光部分の面積が制限されていたが、有機CMOSでは全面に薄膜を形成できるため、センサー面上の全ての光を受光することができ、従来比1.2倍の感度を実現したとのことだ。
さらに、光を電気に変換するのに有機薄膜を使い、信号電荷蓄積は下層の別回路で行うため、1画素内にセルを2つ設け、感度の異なる2つの画素電極や信号電化蓄積量の異なる2つの容量を設置することが可能。これにより、1回の撮影で明るいシーン/暗いシーンを同時に撮影することができ、従来のイメージセンサー比100倍のダイナミックレンジ123dBを実現したとのこと。露光時間の異なる複数画像を順次撮影し、それを合成する従来方式で課題となっていた、動きのある被写体を撮影した際の歪みなども解消できるという。
そのほかにも、有機薄膜を換えることで波長や感度など光を電気信号に変換する際の特性を自由に設定可能。電荷を蓄積する容量部も大きく取ることができるので、これまでより飛躍的に白トビしづらくなるとのことだ。
■新CMOSと組み合わせる光電変換制御シャッター技術も発表
有機CMOSセンサーと組み合わせる光電変換制御シャッター技術も発表された。
従来のイメージセンサーでグローバルシャッター(全画素同時タイミングでシャッター動作を行うこと)機能を実装する際は、画素内にメモリを設ける必要があったが、メモリ部が光電変換部面積を圧迫し、飽和信号量が減少してしまうという課題があった。
今回開発された技術では、有機薄膜に印加する電圧を調整して光電変換効率を制御することのみでシャッター動作を行うことができるので、画素内に新たな素子を追加する必要がなく飽和信号量が減少しない。画素ゲイン切替え回路による「高飽和画素技術」により、従来のグローバルシャッター機能を有するCMOSセンサーの約10倍の飽和信号量を実現するという。
また、上述のとおり1画素内にセルを2つ設けて感度の異なる2つの画素電極などを設置できるため、1回の撮像で動体速度に合わせた最適露光を得ることが可能。たとえば高速回転するプロペラに書かれた文字も歪みなく撮影できるとのことだ。
さらに、時間に応じた感度濃淡を付けた撮像を行えば、1回の撮像で被写体の進行方向が分かる。動体検知や動き方向のセンシングも可能となるとしている。
従来のイメージセンサーは、シリコンフォトダイオードを使って光を電気に変換し信号電荷を蓄積していた。一方、今回発表された新有機CMOSは、光を電気に変換するのに有機薄膜を使い、信号電荷蓄積は下層の別回路で行う独立構造となっている。
有機薄膜は従来のシリコンフォトダイオードよりも光を吸収するため、薄膜化が可能。これにより入射光線範囲を広く取る(60度)ことができるので、斜めから入ってくる光も効率良く利用でき、混色のない忠実な色再現が可能となる。レンズの設計自由度が増すので、カメラの小型化にも寄与する。
また、従来はシリコンフォトダイオード以外の部分に光が入るのを防ぐ遮光膜が必要だったため、受光部分の面積が制限されていたが、有機CMOSでは全面に薄膜を形成できるため、センサー面上の全ての光を受光することができ、従来比1.2倍の感度を実現したとのことだ。
さらに、光を電気に変換するのに有機薄膜を使い、信号電荷蓄積は下層の別回路で行うため、1画素内にセルを2つ設け、感度の異なる2つの画素電極や信号電化蓄積量の異なる2つの容量を設置することが可能。これにより、1回の撮影で明るいシーン/暗いシーンを同時に撮影することができ、従来のイメージセンサー比100倍のダイナミックレンジ123dBを実現したとのこと。露光時間の異なる複数画像を順次撮影し、それを合成する従来方式で課題となっていた、動きのある被写体を撮影した際の歪みなども解消できるという。
そのほかにも、有機薄膜を換えることで波長や感度など光を電気信号に変換する際の特性を自由に設定可能。電荷を蓄積する容量部も大きく取ることができるので、これまでより飛躍的に白トビしづらくなるとのことだ。
■新CMOSと組み合わせる光電変換制御シャッター技術も発表
有機CMOSセンサーと組み合わせる光電変換制御シャッター技術も発表された。
従来のイメージセンサーでグローバルシャッター(全画素同時タイミングでシャッター動作を行うこと)機能を実装する際は、画素内にメモリを設ける必要があったが、メモリ部が光電変換部面積を圧迫し、飽和信号量が減少してしまうという課題があった。
今回開発された技術では、有機薄膜に印加する電圧を調整して光電変換効率を制御することのみでシャッター動作を行うことができるので、画素内に新たな素子を追加する必要がなく飽和信号量が減少しない。画素ゲイン切替え回路による「高飽和画素技術」により、従来のグローバルシャッター機能を有するCMOSセンサーの約10倍の飽和信号量を実現するという。
また、上述のとおり1画素内にセルを2つ設けて感度の異なる2つの画素電極などを設置できるため、1回の撮像で動体速度に合わせた最適露光を得ることが可能。たとえば高速回転するプロペラに書かれた文字も歪みなく撮影できるとのことだ。
さらに、時間に応じた感度濃淡を付けた撮像を行えば、1回の撮像で被写体の進行方向が分かる。動体検知や動き方向のセンシングも可能となるとしている。